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カテゴリー「あるべき心理職国家資格の姿」の記事

2016年11月 6日 (日)

公認心理師にロールシャッハテストは必要ない!?<検討会の資料を読む③>

カリキュラム検討会の資料④には、
少しびっくりする内容が書かれています。

第2回の公認心理師カリキュラム等検討会(10/4)に提出された参考資料④の、

O構成員から提出された資料の1ページ目にあります。

下線までされているので、めだちます。

スコアリングが複雑な投映法人格検査については、臨床心理士の役割と位置付ける」とし、
その後の文章で出てきますが、

「スコアリングが平易な投映法人格検査」は、公認心理師の役割としています。

これはつまり、
ロールシャッハテスト実施は臨床心理士の役割で、
公認心理師はそのトレーニングを行う必要がないということでしょうか?

もちろんすべての心理職が理解している通り、
質問紙法や投映法などテストバッテリーを組んで心理査定を行うことは常識的なことであり、

「スコアリングが複雑な投映法人格検査」のみを切り離すことが、

まったく不自然であることには、

皆さん同意できるのではないでしょうか。

資料4下線部の提案は、

公認心理師の教育レベルを下げようとする不自然な提案であり、

質の高い資格を作ろうという検討会の流れに、

さおをさす意見ですね。

なぜこのような公認心理師のレベルを下げようという意見が、

第2回の検討会で資料として提出されてきたのか、

深く考えさせられます。

2016年10月13日 (木)

公認心理師の養成数の見通しについて<検討会での資料を読む①>

参考資料3 第1回検討会資料(抜粋、一部改変)に、

現状での心理職の数(推定)が掲載されいています(p5)。

平成26年度 厚生労働科学特別研究事業からの数字とのことです。

保健・医療 約2万3千 ~ 2万5千

福祉     約6千 ~ 1万

教育     約1万7千

司法・法務・警察 約2千

産業・労働 約6千

私設     約4千

ということで、

計5万8千 ~ 6万5千 とし、

非常勤もいるということで、

実人数を、

約3万8千 ~ 4万 としています。

同じく、

参考資料2 臨床心理士について をみると、

臨床心理士数が、

1年に約1.5千人誕生していることがわかります(平成27年度)。

(臨床心理士試験受験者は約2.6千人)

この数をみながら、

公認心理師の養成数をどう設定していくか、

議論がなされる必要があるでしょう。

2016年10月11日 (火)

公認心理師のあるべき姿<検討会での発言等の記録を読む④>

第2回公認心理師カリキュラム等検討会の資料にある、

第1回検討会(平成28 年9月20 日)における主な意見(案)

からカリキュラムの基本的な考え方の中に、

○ 公認心理師と民間資格(臨床心理士、学校心理士、臨床発達心理士、特
別支援教育士、ガイダンスカウンセラー等)は2階建てである。医師と
内科医等の専門医の関係に似ている。

という意見があります。

この2階建て論は、

一見整理しているようにみえますが、

なかなか難しいところがあるでしょう。

というのは、

公認心理師は、学部+大学院で養成、

臨床心理士は、大学院だけで養成、

という形になっているので、

公認心理師が1階部分、臨床心理士が2階部分と、

単純にならないことになります。

むしろ、

公認心理師学部教育が1階部分、

公認心理師大学院教育が2階部分、

とした方がわかりやすいでしょう。

そうすると、

臨床心理士養成大学院は、

公認心理師養成大学院教育の2階部分を、

一緒に教育するという位置づけになるのかもしれません。

もし仮に、将来的に、

臨床心理士が5年間の期間をおいての更新制度をより充実させ、

大学院修了者研修制度を整備していくならば、

公認心理師の上位資格として、

位置づけされることもあるかもしれませんが・・。

臨床心理士を2階部分と固定的に位置づけ、

公認心理師を1階部分に押し込めるために、

公認心理師のカリキュラムレベルを下げるような動きがもしあるならば、

国民のためにならない動きとして十分留意し、

議論していく必要があると思います。

公認心理師のあるべき姿<検討会での発言の記録を読む③>

第2回検討会の資料1として挙げられている、

公認心理師のカリキュラム等に関する基本的な考え方について(案)

から、公認心理師のあるべき姿に関連する部分を以下に引用します(赤字部分)。

2. 公認心理師に求められる役割、知識及び技術について
<活動する領域を問わず求められるもの>
○ 国民の心の健康の保持増進に寄与する公認心理師としての職責を自覚
すること。
○ 守秘義務等の義務及び倫理を遵守すること。
○ 心理に関する支援が必要な者等との良好な人間関係を築くためのコミ
ュニケーションを行うこと。また、対象者の心理に関する課題を理解し、
本人や周囲に対し有益なフィードバックを行うこと。
○ 必要な心理学、医学等の知識、技術を身につけ、さまざまな職種と協働
しながら支援等を主体的に実践すること。
○ 公認心理師の資格取得後も自ら研鑽を継続して積むことができること。

この部分は、

ほぼすべての人が賛成する内容だと思います。

ひとつ補足するならば、

「資格取得後も自ら研鑽を継続して積む」ことを、

具体的にどう明確にしていくかが重要と思います。

公認心理師という資格自体が更新制となることはないと聞いています。

この「緊ブロ」で、臨床指導員についてふれました(9/29付)。

もし公認心理師の更新制がないのであれば、

たとえば、このような臨床指導員を、

公認心理師のアドバンス資格として位置づけ、

一定の研修等を課しながら質を確保するという考えもあるかもしれません。

2016年10月10日 (月)

公認心理師のあるべき姿<検討会での発言の記録を読む②>

第2回公認心理師カリキュラム等検討会の資料にある、

第1回検討会(平成28 年9月20 日)における主な意見(案)

からカリキュラムの基本的な考え方の部分を、引用します(赤字)。

【1.カリキュラムの基本的な考え方等について】
○ 有資格者のできあがりの姿を考えた上で、カリキュラムを考えていく必
要があるのではないか。
○ 法律では「保健医療」と書かれているが、保健と医療は分けて考えるべ
きではないか。
○ 現状の大学のスタッフで公認心理師のカリキュラムがどれくらいでき
るかということも考えてほしい。
○ 人と関わること、人の心を理解すること、その理解を周囲の幸せにつな
げることの3つが重要であり、実験室で得られるものよりも、生きた人
間を相手にしたものを重点的に学ぶべきではないか。
○ 科学者-実践者モデルに沿って、基本的な心理学を学ぶことと現場での実
践からエビデンスを見つけていくことの両方が必要ではないか。
○ 公認心理師と民間資格(臨床心理士、学校心理士、臨床発達心理士、特
別支援教育士、ガイダンスカウンセラー等)は2階建てである。医師と
内科医等の専門医の関係に似ている。
○ 公認心理師養成には大学院教育が不可欠であり、資格はその水準に合わ
せるべきである。

有資格者のできあがりの姿」として、

人と関わること、人の心を理解すること、その理解を周囲の幸せにつな
げることの
」、

科学者-実践者モデル」、が重要であり、

そのためには、

大学院教育が不可欠」と読み取ることも可能でしょう。

しかし一方で、

現状の大学のスタッフでどれくらいできるのか

という意見も出たということですね。

大学スタッフについていうならば、

選択科目については非常勤講師でも教授可能であるので、

必修科目、特に演習や実習科目について、

どのように大学教員を配置する必要があるかが、

焦点のひとつとしてあるでしょう。

しかしながら、

カリキュラム等検討会に期待することは、

まずは「有資格者のできあがりの姿」を明確にし、

そのために必要なカリキュラムを明らかにすることです。

ぜひとも、

真に社会の期待にこたえる養成システムの構築のために、

議論をお願いします。

2016年10月 8日 (土)

公認心理師のあるべき姿 <検討会での発言の記録を読む①>

第2回公認心理師カリキュラム等検討会の資料にある、

第1回検討会(平成28 年9月20 日)における主な意見(案)から、

公認心理師のあるべき姿の発言を以下に抜粋します。

赤字順番変更太字は「緊ブロ」が手を入れています)。

【2.公認心理師に求められる役割、知識及び技術について】
○ 将来的には、心理の業務を行う者は、全員公認心理師資格を有した上で、
専門性を高めていくことが理想ではないか。
○ 法律ができるまでに心の問題も複雑になり、学問ありきではなくなった。
今は様々な人と協力し、チームワークで仕事をすることが求められる。
この状況を鑑みてこれまでの研修について見直しをしなければならな
いのではないか。
○ 求められる役割、知識及び技術は、それぞれの分野毎に分けられるもの
ではなく、どの分野にあっても他の領域を含めた広い視野を持つべきではないか。
○ 何でも屋であることと専門性を持つことのバランスが重要ではないか。           
  ○ 実務では既存の理論がそのまま当てはめられるという例はあまりない。
主体性を損なわず、目の前の事象に向き合うことができるようにしなけ
ればいけないのではないか。

守秘義務などの法的な事項への理解が必要ではないか。

チーム医療、医療における多職種協働においては医学についての知識が
必要であり、必須とすべきではないか。
○ 学校においては、場合によっては医療や福祉、時には警察との連携が必
要なことから、関係する医療等の分野についての知識も必要ではないか。
○ 学校領域では、ストレス対処等予防開発的心理教育が重要である。これ
は、公認心理師法第2条にあげられた、公認心理師の行為の1つである。
○ 学校領域で心理的支援を行っている者には、スクールカウンセラー、特
別支援の教員、専任カウンセラーなどがいる。
○ 司法領域においては、当事者が必ずしも援助を求めていないという状況
で信頼関係を築く必要があるのではないか。

前半が公認心理師の全体像について、後半が各領域に関する意見となります。

医療、教育、司法などの各領域を個別にも学ぶことも重視しつつ、

広い視野を持ち、チームワークや多職種協働、守秘義務などの法や倫理、

そしてお互いにとって主体的で深い意味で向き合っていく「臨床的姿勢」も大切にしつつ、

予防開発的心理教育や援助を求めていない人への支援についても、

対応できるようにする、

このような姿について議論されたと受けとめました。

公認心理師のあるべき姿については、

今後とも何度も議論されることになると思いますが、

検討委員会で公式に残ったこの記録は、

何度も読み返したいと思います。

2016年9月27日 (火)

このブログを再び更新します

しばらくご無沙汰していました。

このブログを再度(再再度)更新します。

再開する理由は、

この9月に始まった、

厚生労働省の公認心理師カリキュラム等検討会での議論を、

注意深くフォローアップするためです。

2015年9月に公認心理師法が成立し、

臨床心理職の国家資格化は、大きく前進しました。

しかし、真の意味で、臨床心理職としての国家資格となるには、

いくつかの課題があります。

そのことがいま、

カリキュラム等検討委員会で議論されようとしています。

その経緯を、このブログでも注視していこうと思います。

2014年6月14日 (土)

投げ込まれた難しい球 ー臨床心理職の法案へのスタンス

公認心理師法案について、
自由民主党内での調整はついたのですが、
公明党、民主党での意見集約に時間を要しました。
そして最近開かれた各党議員参加の会合で、
意見集約が行われ話としてはまとまったものの、
時間的な関係で今国会での成立は難しいという情勢のようです。
この間、どの情報をオープンにして良いかどうか難しかったので、
(個人的にも忙しかったので)
ブログ更新を控えていました。

この公認心理師法案は、
関係する各団体の意見を集約した実現可能なギリギリのものと思いますが、
日々現場で働く心理職としては、
皆さん難しい判断を迫られていると思います。

その難しさの一つは、
「学部卒+研修」のルートを創設するという点です。
そしてもう一つは、
「医療機関以外でも主治医の指示を受ける」
ということでした。
(名称や既存資格との関係などもちろんありますが、
それらは国民の視点からよりも、
既存組織の存続といった面も強いのでここではふれません)

上記に挙げた両者については、
医療関係団体からの強い要望が背景にあると思います。
この強い要望に対して、
どのようなスタンスを持つかということが、
今回、心理職に投げられた難しい球だったと思います。
そしていくつかのスタンスの違いが生じざるを得なかった。

前者については、
以前から心理関係団体での意見集約が行われており、
そのことは各団体は充分に理解した上で、
今回の法案に対する態度を決めたのだと思います。

しかし後者の点については、
これまでの法律にはない新しい「指示」概念であり、
その影響について各心理士が意見を持つことが、
相当に難しかったのだと思います。

さまざまな議論をしながらみえてきたことは、
「主治医の指示」であっても、
1.本人(家族)の同意
2.守秘義務(医師及び心理師の)
3.緊急時の例外
4.心理師の所属する組織決定との調整
5.当該支援という限定
によって、
利用する人への不利益をかなり減らせる可能性があるということでした。

しかしこれらは確定的なことではなく、
これからの議論ということで、
そのような不確定な中での判断はとても難しかったということは、
強調してよいかと思います。

思えば国家資格問題に関して、
このような難しい球の心理職側への投げ込みが、
もう何十年も続いているということですね。
本当に辛抱のしどころと思います。
すべての関係者の方々のご尽力に、
感謝申し上げます。

難しい球へのスタンスの違いはあるのですが、
今回の法案の国会上程に対して、
心理関係のすべての団体は、
その方向での動きに感謝し賛同するという態度表明を国会議員の先生方を前にしました。
その重みを充分にふまえつつ、
一方でさまざまな意見にも向き合いつつ、
事柄が進んで行くことを願います。

2006年10月10日 (火)

「国際シンポ」速報2-感想

今回のシンポは、医療関係団体の方も参加してくださって、ご発言してくださいました。日本精神神経科診療所協会の先生や日本精神神経学会の先生からの率直な発言がありました。また、日本精神科病院協会の先生も参加しておられました。なかなか、緊迫したディスカッションでしたが、医療と心理の関係者が直接に意見を交し合うこの機会は、本当に待ち望んでいたものでした。医療関係の皆さんの意見にはまだまだ理解をいただくまでの距離も感じましたが、このような議論を重ねることの大切さを再認識しました。

今回のシンポの中で、すべての先生が強調されていたのは、心理学独自の専門性とその対人サービスがあり、それは医療のサービスとは異なるものだ、ということだと思います。この点を、海外の先生はさかんに、心理士の立場はfree(フリー)である、と強調していました。この意識はわれわれにとってはなじみのある考えと思うのですが、医療の方々からはやはりわかりにくいのでしょう。

フロアーからは、社会福祉士の方からの発言もありました。この発言は、私は聴いていて、思わず涙が出てきました。ソーシャルワーカーが医療の分野に入ることの困難さの歴史と、医療に入るならばと条件を提示され(医療関連科目を大幅に履修することを要求されたとのこと)、それではソーシャルワークの独自性を保てないということで話を断ったという話、その結果「100年は医療の世界には入ってこれない」と言われてしまったという話でした。まさに、同じようなことが心理の世界でも起こっていますね。

国家資格問題は、自分(心理士自身)のためとか地位向上のためということではなく、心理学の知恵を質の高いサービスとして享受する国民の権利を、守ることができるかどうかということとイコールであると再認識しました。海外ではそのような国民の権利を保障する法整備を整えたところが多いです。さて、日本は?ということですね。

どうぞ、皆さんのご意見、ご質問をおよせください。

「心理専門職に関する国際シンポジウム」速報1

本日(2006年10月9日)、東大の安田講堂で、シンポジウムが開催されました。

参加者は400名ぐらいだったでしょうか。熱気のある会でした。

詳しい内容は追ってご報告しようと思いますが、参加した感想を少しだけ・・・。

はじめに、河村健夫先生(国会議員)からのビデオでの挨拶がありました。臨床心理士の役割の重要性に触れながら、「今度の臨時国会で、前回用意した法案を提出できないか調整中である」という力強い言葉をいただきました。

海外から参加のAlfred Pritz(世界心理療法協議会会長), Peter Kinderman(リバプール大学), Orjan Salling(スウェーデン心理学協会理事長)ともに、それぞれの国の心理職国家資格の重要性と大変さなど、いろんな話を語ってくれました。

Pritz先生は、心理療法家がなぜ政治的な動きが苦手がという心理的検討から始まり、心理職が政治的に動くことが、クライエントや国民のためになるという話をとてもわかりやすく語ってくれました。また、心理職の国家資格の標準的な姿を提示してくれました。

Kinderman先生は、英国の臨床心理の資格化の動きをとてもわかりやすく説明してくれました。医療とは異なる心理士の役割について、たとえ精神障害であっても障害にいたる心理的プロセスの見立てと介入については、心理士の役割であると明確に述べてくれました。

Salling先生は、スウェーデンの国家資格化の経験を説明してくれました。さすがに福祉国家のこともあるでしょう、理想的な心理職国家資格化を達成しています。心理職養成のカリキュラムを少しずつ拡充して、質の高いものにしていく粘り強さは印象的でした。

日本からは、乾吉佑先生が日本の国家資格の検討の歴史と現状をわかりやすくお話しくださいました。臨床心理職を医行為とするかどうかについての議論についても、その経緯を丁寧に説明してくれました。平木典子先生は、心理学諸学会連合の動きについてお話くださいましたし、亀口憲治先生は、システム論な観点も含めて、より大きな視点から国家資格化を議論してくださいました。

(これは私の個人的なまとめです)