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カテゴリー「医療心理師は問題」の記事

2005年11月19日 (土)

医療限定資格の不自然さ・・・こだわっています

大事なことなので繰り返し・・・。

 

医療限定資格が医療限定に決してならないという話です。

 

私は、ある曜日は病院でカウンセリングを担当しています。その時は「病院の心理士」です。しかし、別な曜日は、学校でカウンセリングをしています。その時は「スクールカウンセラー」です。企業で活動している時もあります。その日は、「企業の心理士」です。

 

このように、病院や地域など複数の場で働いている心理士は多いと思います。

 

もし医療限定資格(医療心理師)のみができたとしましょう。医療限定の資格で医師の指示を受けます。この資格しかないのであれば、病院で働く私はこの医療限定資格(医療心理師)を取らざるを得ません。病院ではもちろん医師の指示を受けます。病院の場ですから、医師の指示下は当然です。

 

一方、学校においてスクールカウンセラーで働く場合はどうでしょう。学校に行くときには、私は医療心理師の看板をおろして活動ができるでしょうか?そんなことは無理ですよね。医療心理師の有資格者の私が、学校で働くことになるのです。

 

ということは、学校で働いていても、医療心理師として医師の指示の下におかれるという現象がおきます。学校で働く場合は、心理士は学校管理者たる校長の指揮下におかれるべきです。学校のサービスの一環として、心の支援サービスが展開される必要がある。必要に応じて(長く通院している生徒について対応をはじめる時など)、医師の指示下におかれるのなら判ります。しかし、学校の活動全般にかかわる形で身分法として、医師の指示下というのでは都合が悪い訳です。

 

企業においてはどうでしょう。企業の場合は、社長を頂点とする企業人事システムと産業医をトップにおく産業保健システムとの間に心理士はあって、その微妙なバランスの中を行き来している感じです。その微妙な動きができるのが産業精神保健の醍醐味なのです。仮に医療心理師のみができると、身分法で医師の指示下におかれることになる。企業人事システムに入っていても、医師の指示下におかれるという事態となる。これでは、心理士のこれまでの柔軟な活動を大きく制限されます。

 

つまり、医療限定資格であっても、横断的に複数の現場で心理士が働いている状況においては、実際には医療限定とはなりえない。そして医師の指示も医療機関以外に事実上広がってしまうことになるわけです。

 

医療以外に、教育、産業、司法・矯正、その他幅広い分野で活動している心理士の実態にあった横断的な国家資格にしなければ、ねじれが生じ不自然な資格制度となります。ねじれた不自然な制度は、国民のためにもならない制度となると考えます。

 

医師の先生方にとっても、指示の範囲が大きく広がってしまうことは危険なのではないでしょうか?指示には当然責任も伴います。初診でみた患者さんがスクールカウンセラーのところにもたまたま通っていたならばどうなるのでしょう。事情がよくわからないのにそのスクールカウンセラーが医療心理師有資格者となれば、医師は法的には指示しなければならなくなる。学校の事情も不明な中で責任を持つことになればそんな危険なことはありません。ただでさえ多忙な医師たちが、これ以上の無理な責任を持つことに対して、私は本当に心配しています。

2005年9月18日 (日)

日本心理学会ワークショップについて

徐々に内容が明らかになってきている”今話題”の日心「医療心理学」ワークショップについてです。

 

2005年9月12日(月)午後に、日本心理学会第69回大会において、「医療心理学の確立に向けて」というテーマで行われましたが、企画者は丹野義彦氏(東京大学)ほか、話題提供者は、辻敬一郎氏(前日本心理学会理事長、中京大学)、斉藤慶子氏(戸田病院)、利島保氏(広島大学)、坂野雄二氏(北海道医療大学)ほかで、「医療心理師」推進の面々がそろったワークショップで、当然国家資格に関する本音の意見が交わされたようです。

 

その内容に関心が集まりますが、舞衣さん「心理系研究者つれづれ日記」すえぞうさん「末々草(すえ思う故に末あり)」Decoさんロテ職人さんデスマさんと、次々に情報が流れてきています。「医療心理師」推進の思惑や事の進め方の姿勢が垣間見えますね。

 

Sさんのブログ批判発言については、各ブログで反論がなされています。議論を幅広く進めていこうという姿勢からは程遠いSさんの姿勢が問題となっています。そういえばSさんは、日本精神神経科診療所協会長名で出された公開質問状にはお答えになったのでしょうか。たとえばこのような問題提起をするブログは「信用せず、全心協のHPだけをみればよい(by Sさん)」のでしょうか?

 

ところで、このワークショップでSさんは、医療、保健、福祉を含む資格を作る旨の発言をされていたということです(参加者の方からの伝聞ですが)。やはり、医療限定の資格ではなく、その範囲を広げようと動いているのですね。緊ブロ「こころの侵襲性をめぐって」のコメント欄でもうろつきさんとデスマさんの議論にありましたが、「医師の指示」下の福祉領域心理職というのは、大きな問題です。

 

ワークショップの他の先生方も学術的にはすばらしい方々と思います。しかし、こと「医療心理師」資格に関する動きについては、自説の影響力の拡大などの思惑を感じてしまいます。これは私が偏見に満ちているからでしょうか?

 

ちなみに、日本心理学会の平成17年度の事業計画をみると、「医療心理師」養成カリキュラム検討委員会の設置というものがありました。ここでカリキュラムの検討をやっているのですね。内容はどこまで公開されているのでしょうか。関係者の皆さんには、ご自分の専門分野をカリキュラムに大きく取り上げようというような私欲では動かれないことを切に願います。

 

「医療心理師」の動きを見極める上で、日本心理学会の動向を広く情報共有し検討する必要がありますね。現場の実務家からすると統一資格の方が利用者のためになると実感している方が多いと思います(最近のつなでさんのブログも参照)。しかし、一本化への最大の障壁は、実践現場の感覚とは大きく異なる、指導的立場にある一部学者の思惑や野心にあるのかもしれません。

 

若手の心理学関係者は、基礎系であっても臨床系であっても理解しあってコミュニケーションを取り合ってきつつあると思います。次の世代のための広い視野からの協力関係を育てていきたいものです。

 

このワークショップでの各先生の発言情報やカリキュラム情報、その他「日心」情報をお待ちいたします。

2005年8月28日 (日)

全心協総会の開催

本日、予定通り、全心協の総会とその後の「説明会」が開催されたようですね。

総会自体は30分程度で終了し、その後15:30過ぎから「説明会」だったとのこと。

参加者は30名程度・・・。

いろいろと議論があったようですが、その内容は、「検討委員会」他のブログで公開されるのではないかと思います。まだ、他ブログでのエントリーがないようなので、もし寝る前に報告したいという方がいらっしゃれば、こちらに感想などをどうぞ。

内容は伝聞なので正確にはわからないのですが、「医療心理師」資格化を目指していこうという方向を確認したようですが、医療団体との関係修復をどうするかなど、明確な方針は打ち出しにくい感じだったようです。幹部の報告によると、FAXなどで医療団体にはこれまでにも連絡はきちんとしていたということらしい・・・(保助看法解除しない件などの連絡ということと思いますが)。

話題となった「公開質問状」については、話題にでなかったのかな・・・。

全心協の方向性、難しい局面ですね。

2005年7月10日 (日)

「医療心理師」のこわーいお話

医療心理師は「医療限定資格」ではありません

医療心理師は臨床心理士の領域を脅かさない、よかったよかったと思っていませんか?そんなことはないですよ、というお話です。

7/5の法案要綱で医療心理師は、「医師が傷病者(治療、疾病の予防のための措置又はリハビリテーションを受ける者であって、精神の状態の維持又は改善が必要なものをいう)に対し医療を提供する場合において」と記されています。ここで「医療限定」とは表現されていないですね。

これは医療心理師は医療以外でも働ける可能性を残した表現と思います。厚生労働省が省令などで誘導すれば、児童相談所や保健所のデイケア、福祉施設、介護関係の施設でも働くことが可能です。傷病者への支援を行うことに特化していると主張すればよいわけですから。こわいけれどあり得る話ですね。

学校領域への進出も可能です。臨床心理士が不足している地域ならば、資格がない人を雇うよりも、医療心理師有資格者を採用したほうがよいと考えることになり得ます。この場合、医療心理師は「カウンセラー」として勤務するでしょう。医療心理師を持っていても、医療心理師を名乗らずに業務を行うと言えば、どの分野でも働けるという理屈も成立します。こわいけれどあり得ます。

臨床心理士も業務独占資格ではないので、学校分野で臨床心理士以外がカウンセリングをしてはだめという風にはなりません。これから医療心理師が学部卒で「大量に」養成されれば、実務経験のない人たちであっても、まったく資格を持っていないよりあった方がよいということで、都道府県レベルで医療心理師がさまざまな分野に進出することがおき得ます。

そもそも医療行為を行わないのに医師の指示下ということがよくわかりません。医療心理師と名乗れば医師の指示下だけれど、医療心理師と名乗らなければ医師の指示下に入らないということになりますよ。変な感じですね。医療行為を行う資格ならば、当然医療行為を行う場合には医師の指示に入ることになりすっきりするのです。んー、やっぱり医療心理師は問題だ。

2005年7月 2日 (土)

医療心理師「10万人」計画!?

この話は関係者の方々から私も聞いています。

これだけの医療心理師をどこに勤務させようとするのでしょう。医療機関のみではどんなにがんばっても10万人も勤められない。

それは福祉分野なんですよ!

そして照準は、介護保険分野でしょう(推測ですがほぼ確実では?)。

そういえば、今国会で介護保険法改正があって、「包括支援センター」といった地域センターが新たに作られることになっています。これは介護予防を中心に行っていくセンターです。介護予防のためにさまざまなプログラムを行うのですが、そこに心の支援を行うスタッフが必要と考えているようです(その考え自体には大賛成です)

そこに医療心理師を投入するとしたら・・・。

そして、その医療心理師が医師の指示のもとに動くとしたならば・・・。

医師による介護分野へのコントロールがより明確になりますね。

厚生労働委員会の国会議員の方々は、介護保険法改正の審議も行っていました。だから彼らは、介護分野に詳しいのです。そして、医療心理師を押しているのも、厚生労働委員会の一部の国会議員の先生方です。当然話をつなげて考えるでしょう。

医療心理師が医療行為の枠に入らず医師の指示を受けるということで、こんな離れ業ができるのですよ。だから10万人計画という話が出るのです。

それでも10万人は多い?そんなことはありません。ほかにもねらうことのできる福祉分野はたくさんありますね。児童、障害者、子育て支援、これらもすべて、厚生労働委員会です。どこに勢力を広げていくか・・・。

すごいですよね、医療心理師の政治的ねらいは・・・。

そしてそれを姿をみせずに遠隔操作している「団体」にはすごみを感じます。

臨床心理士こそが高齢者支援や介護予防、児童、障害者、子育て支援に貢献できるし、すでに実績を上げているのに!

2005年6月17日 (金)

学部卒資格「医療心理師」への懸念 - カウンセリングは難しい

 私は臨床歴10年以上の臨床心理士です。学校や病院、企業でのカウンセリングを経験しています。カウンセリングや心のサポートの専門家として育つには、単に知識を得たり技法を学んだりするだけでは不十分です。また、実習も数週間とか数ヶ月のものでは足りないと思います。

 今日面接した方々も、笑顔あり涙ありのさまざまな人生の一場面を語り、そして沈黙し、将来を思い描き・・・、人生との出会いでした。もちろん全力で私は対応するのだけれど、後でこうすればよかったと反省したり自分の鈍感さに改めて直面したりも多いのです。カウンセリングは、クライエントとあっている時間のみならず、面接が終わってからのカウンセラーの心の中での熟成がとても大切になる。もちろん同じことがクライエントにも言えて、カウンセラーと会っていない時間が彼らにとっての大切な成長の時間となるのでしょう。それをまた次の面接で語り合う・・・。

 このような出会いを大切にする面接を行うためにも、自分とは何ものなのかとか人をささえるとはどういうことなのかとか、そして自分はどんな弱さを持っているのかなど、深い自己理解と自己研鑚が、心を支援する職業には必要と思います。

しかし、あまり早い年齢で臨床の場に押し出されてしまうと、自己理解や自己研鑽より、知識の習得とか面接技法の体得に追われ、クライエントを自分の知識にあてはめて理解しようとする危険性があります。面接技法を実行する対象としてしかクライエントをみることができなくなる。これはとても危ないことであり悲しいことです。学部4年間で資格を与えようという「医療心理師」では、このような「人と真の意味で出会えない」心理カウンセラーを生み出すことになるのではと、私は本当に心配しています。

知識の習得や面接技法の体得の基本は学部4年間でやった上で、厳しい自己理解や自己研鑚をより高度な知識や面接技法の習得とあわせて行う大学院修士課程の教育が、私はぜひとも必要と思います。本当は大学院修士課程でも不十分かもしれない。しかし、大学入試以外にもう一回大学院の入試をくぐりぬけ、心理の専門家としてやっていこうと覚悟しているのならば、十分厳しい自己研鑽に臨んでもらえると思う。

私も大学院修士課程で多くのことを学びました。同世代は大卒で就職して働いているので、自分はなぜこの道を目指そうとするのか何度も考えざるを得なかった。正直言って苦しかった。でもその何度も問い直した経験は、今ではとても良く役立っています。そして今でも問い直しています。「私はなぜこの仕事をやり続けているのか?」

2005年6月12日 (日)

「医療心理師」は福祉職!

 現在議員立法で検討されている「医療心理師」法案は、福祉職であることが明確となっています。「医療」という名称がありますので、当然「医療行為」を行う医療職という思われるかもしれませんが違うのです。

 現在医師、保健師・助産師・看護師以外で、医療行為を行える医療職には、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技師、救命救急士など、さまざまな職種があり、これらは保助看法を開くことで医療行為を行えることになっています。

 「医療心理師」(案)は、これらの理学療法士や作業療法士と同じ職種と考えている方もいるかもしれませんが、これらの医療職ではなく福祉職となります。それでは、「医療」という言葉をつけるのはまずいのではないでしょうか。「医療」という言葉を用いれば、国民の誰もが「医療行為」を行うと勘違いをするでしょう。そのような誤解を招く名称は、国民にとってわかりにくいものです。

 しかし、その矛盾のつじつまを強引にあわせるために、福祉職なのに医師の指示下におくという乱暴なやり方をどなたかが開発(!)した訳です。福祉と医療は基本となる考え方が異なる訳ですから、心理職としての福祉職をすべて医師の指示下におくのはあまりに無理があるといってよいでしょう。

ですから、福祉職である「医療心理師」から医療という言葉を削除し、また医師の指示を削除もしくは一部残し、主治医がいる場合は医師の指導を受けるという考え方が、国民にとっても最も受け入れやすい考え方となるのではないでしょうか。この方向は一本化の流れを大きく進めるものであり、「臨床心理職(士)」とほとんど境界がなくなります。

 しかしこのような考え方にブレーキをかける動きがあります。この動きこそが、今回の国家資格騒動を読み解く上でも押さえておかなくてはならない動きだと考えます。