医療限定資格の不自然さ・・・こだわっています
大事なことなので繰り返し・・・。
医療限定資格が医療限定に決してならないという話です。
私は、ある曜日は病院でカウンセリングを担当しています。その時は「病院の心理士」です。しかし、別な曜日は、学校でカウンセリングをしています。その時は「スクールカウンセラー」です。企業で活動している時もあります。その日は、「企業の心理士」です。
このように、病院や地域など複数の場で働いている心理士は多いと思います。
もし医療限定資格(医療心理師)のみができたとしましょう。医療限定の資格で医師の指示を受けます。この資格しかないのであれば、病院で働く私はこの医療限定資格(医療心理師)を取らざるを得ません。病院ではもちろん医師の指示を受けます。病院の場ですから、医師の指示下は当然です。
一方、学校においてスクールカウンセラーで働く場合はどうでしょう。学校に行くときには、私は医療心理師の看板をおろして活動ができるでしょうか?そんなことは無理ですよね。医療心理師の有資格者の私が、学校で働くことになるのです。
ということは、学校で働いていても、医療心理師として医師の指示の下におかれるという現象がおきます。学校で働く場合は、心理士は学校管理者たる校長の指揮下におかれるべきです。学校のサービスの一環として、心の支援サービスが展開される必要がある。必要に応じて(長く通院している生徒について対応をはじめる時など)、医師の指示下におかれるのなら判ります。しかし、学校の活動全般にかかわる形で身分法として、医師の指示下というのでは都合が悪い訳です。
企業においてはどうでしょう。企業の場合は、社長を頂点とする企業人事システムと産業医をトップにおく産業保健システムとの間に心理士はあって、その微妙なバランスの中を行き来している感じです。その微妙な動きができるのが産業精神保健の醍醐味なのです。仮に医療心理師のみができると、身分法で医師の指示下におかれることになる。企業人事システムに入っていても、医師の指示下におかれるという事態となる。これでは、心理士のこれまでの柔軟な活動を大きく制限されます。
つまり、医療限定資格であっても、横断的に複数の現場で心理士が働いている状況においては、実際には医療限定とはなりえない。そして医師の指示も医療機関以外に事実上広がってしまうことになるわけです。
医療以外に、教育、産業、司法・矯正、その他幅広い分野で活動している心理士の実態にあった横断的な国家資格にしなければ、ねじれが生じ不自然な資格制度となります。ねじれた不自然な制度は、国民のためにもならない制度となると考えます。
医師の先生方にとっても、指示の範囲が大きく広がってしまうことは危険なのではないでしょうか?指示には当然責任も伴います。初診でみた患者さんがスクールカウンセラーのところにもたまたま通っていたならばどうなるのでしょう。事情がよくわからないのにそのスクールカウンセラーが医療心理師有資格者となれば、医師は法的には指示しなければならなくなる。学校の事情も不明な中で責任を持つことになればそんな危険なことはありません。ただでさえ多忙な医師たちが、これ以上の無理な責任を持つことに対して、私は本当に心配しています。
| 固定リンク | コメント (3) | トラックバック (3)


最近のコメント