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2005年8月 5日 (金)

対人サービス職の国家資格について

「速報! 今国会の法案上程見送りへ」コメント欄では、心理職の国家資格を巡っての議論が続いています。ここではちょっと違った視点から、国家資格について考えてみようと思います。

 

ある対人サービス職を国家資格にするには、次のようなことが広く国民から求められた時でしょう(あくまで個人的意見なので補足などをお願いします)。

 

・国民に一定の質のサービスを全国的に供給する

・養成教育システムを全国的に整備する

・優秀な人材を継続して確保する

・卒後教育システムを十分に整備する

・長期的な専門家供給計画を立て実行する

・倫理や社会的責任を明確にする

・担えることと担えないことを明確にする

・さまざまな分野で連携できる立場とする(医療分野も含めて)

・国民に対して活動への説明責任を持つ

 

質の確保がまず大切なことなのですが、その対人サービス職の取り扱う事項が重要であればあるほど、国家資格であることの必要性は増します。たとえば国民の命を左右する職種は、国家資格として位置づけることが必要となるでしょう。

 

心理職は、やはり人の命を左右する局面にたたされることがありますね。それは病院ではなくても、たとえば学校でこれから自殺するという生徒への対応を迫られることもあり得る。私もずいぶんとそのような危機的局面に出くわしました。もちろん、学校の先生と協力し、保護者に連絡し、医療機関受診などの道をさぐるのですが、さまざまな高度な判断が迫られる。時にはとてつもない責任も負いながらの対応となります。そんな時に私は素朴に思うのです。「こんな責任の重い仕事なのに、民間資格でやらなければならないのか」

もちろん、国家資格ではなくても責任重大な仕事は多いですから、上記の思いはやや感情的なものではあるのです。しかし、心理学、医学、福祉学、教育学、その他の知識やスキルを総動員して、それでも答えのでない高度な臨床的判断を行うのが心理職の職種だと思います。そのサービスを享受する人々のためにも、全国的に一定の質の人材を供給することが、今の時代に求められていると思います。

民間資格では、全国に一律の人材提供という意味で限界があります。現に臨床心理士は、都会では供給過多であるけれど一部の地方では不足しているのです。日本全国におけるサービスという視点が重要ですね。

倫理規定はもちろん民間資格でも規定されていますが、これが法律で定められることの重みは異なります。もちろん法律で定めなくても守るのが倫理という意見もわかりますが、「医師と臨床心理士が共同でめざすもの」コメント欄にあるような、警察とのやりとりといった事態になったときに、法的な裏付けのある倫理規定(守秘義務)とそうでないものとでは、大きな違いがあるでしょう。

担えることと担えないことの明確化、この点も対人サービス職に求められることです。なぜならば、できないことをできるふりをすることが、対人サービスとして一番危険だからです。この点は、心の支援においてはもっとも気をつける必要があります。心の支援は、誰にでもできる部分もあるかもしれないけれど、厳しい高度な判断を求められる部分もあるということに、心理職は特に敏感であるべきです。心の支援の有効性と限界に対する充分な見立てが行えるかどうかが、専門家としては強く求められます。この点が、占い師やいわゆる心理商法とは異なる、心理職の専門性です。

「連携」についても、民間資格でもできるのではとの意見もありますが、医療分野では国家資格でないと難しくなっていることには誰も反対しないでしょう。地域(医療以外)でも、たとえば学校においてスクールカウンセラーの法的な存在根拠は希薄ですよね。だから継続したサービスが提供できず予算の都合で来年からは中止といったことも起こり得る。産業分野でも、経営者の判断でブームのように対人サービス職(たとえば心理職)が採用されても、その継続性が保証されない。地域支援の継続性を確保するためにも、国家資格による明確な位置づけが必要となっていると思います。

質の悪い心理職を排除するためにはあまり継続するシステムを考えない方がよいという意見もありますが、それは間違っていると思います。必要な対人サービスシステムは継続する必要があるのであって、問題の心理職を首にするかどうかは、そのシステムの運用上の問題に過ぎないわけです。もちろん、対人サービスのシステム作りにおいて、重要な役割を担える心理士を養成するという使命が、心理士の職能団体には求められるのは言うまでもありません。

そして、国民に対する説明責任の問題(アカウンタビリティー)、これはぜひとも重要視したいところです。ここについては、精神科医や精神保健福祉士の団体ではいかがなのでしょう?何を国民に説明すればよいか難しいところですね。人数や研修会参加者、活動報告、提言などがとりあえず求められるのでしょうね。この点はより検討が必要かもしれません。

対人サービスとしての国家資格という観点からの意見でした。皆さんからのご意見をお待ちします。

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