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2005年7月21日 (木)

「日本精神神経科診療所協会」の法案への反対意見

国家資格法案に対する精神科医団体の反応が注目されていましたが、7/20(昨日)に精神科診療所開業医の団体(日本精神神経科診療所協会)から、法案への反対意見が出されました(同協会ホームページ「日精診見解」参照)。

関係者の皆さんは、ぜひこの見解をご覧ください。そして、どのような意見をお持ちになるか、ご意見をお寄せください。この団体は、基本的には医療心理師側の団体で、臨床心理士への反対意見が主ですが、法案の上程自体への反対を表明しています。

また、この見解によると、「日本精神神経学会」「日本精神科病院協会」も反対の態度をとるということです。これらの団体も、医療心理師側の団体です。医療心理師推進協議会内で意見が割れたということなのでしょうか?

法案への精神科医の団体からは反対は予想されたものです。今回の見解の内容を整理しました。とりあえずの私の見解を*で示しました。詳しい意見はまた後日述べたいと思います。

①臨床心理士や医療心理師の行う行為(以下「心理学的行為」とする)は、医行為に近いのに、その関係を明確にしていない

*この意見はもっとも想像されたものですね。医療心理師推進のこの団体は、そもそもこの点を検討せずに「医療心理師」資格に賛成したのでしょうか?「心理学的行為」には「医行為」に近いものもありますが、そうでない独自の部分も多いわけです。その厳密な議論は必要だけれど、厳密な議論が何度もなされてまとまらなかった歴史もあるわけです。大きな枠組み(医療提供時には、医師の指示を受ける)で整理する方向で基本的にはよいのではないでしょうか。

②臨床心理士の業務は、他職種(医師、看護師、精神保健福祉士、教師)との間に無用な混乱がおこる

*臨床心理士と医療心理師の2つある方が、「無用な混乱」があるのではと思ってしまいます。臨床心理士は業務独占ではありませんから、各分野で連携しながら対応していく(実際にしている)ことを強調したいと思います。

③「心理学的行為」の範囲があいまいである

*「心理学的行為」の範囲があいまいだからといって、資格を作ることに反対する理由になるのか、理解に苦しみます。諸外国で臨床心理職の国家資格が多数あることをどう考えるのでしょうか?業務独占資格ならこの主張もわからなくもないですが、名称独占資格ですから・・・。

④「心理学的行為」は科学性がない

*効果の科学的検証は必要です。ただし、科学的検証をできないからといって、国家資格が必要ないというのは、ちょっと無謀かなと思います。医行為はすべて科学的検証に基づいているのでしょうか?臨床経験によって得られた知の蓄積も多いのではないですか?「臨床心理学的行為」には、現在の科学的検証のみでは手が届きにくい構造を持っています。

⑤「臨床心理士」の資格認定があいまいである

*「教育課程において医学・医療分野の履修が述べられていない」とありますが、実際にはその必要性が何度も議論されていますよ。この理由で法案に反対するのではなく、こうしてほしいと提案するのならわかりますが・・・。

⑥医療機関以外では「心理学的行為」の国家資格を作るべきではない

*医療以外の現場をあまり知らないと、「臨床心理学的行為」が「医行為」とは異なる側面があることに思いがいたらないのだと思います。あまり詳しくない分野に対して、あまりご自分の分野の考えを押し付けようとするのは、厳しいのではないでしょうか?臨床心理士の医療機関以外での活動に対する否定の考えですね。

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あるべき心理職国家資格の姿」カテゴリの記事

コメント

平成17年7月22日

臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子(案)に対する反対声明

社団法人 日本精神科病院協会
会 長  鮫 島  健

 日本精神科病院協会としては、以前より医療現場における心理職の必要性をチーム医療の観点から強く訴えてきたところである。その上で、過去厚生科学研究班においても当協会より参加し、その国家資格化について十分議論を積み重ねてきた。
 このような努力にもかかわらず、心理職の国家資格化は進展しなかった。その後、全国保健・医療・福祉心理職能協会の強い要請もあり、また心理行為における認識が一致し、医師の指示の下に業務を行うことを前提に、その国家資格化については、当協会として協力することを機関決定した経緯がある。
 しかし、今般議員立法として提案されようとしている「臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子(案)」は、「臨床心理士」及び「医療心理師」を一つの法律に規定しようとするものであり、「医療心理師」の国家資格化を推進してきた当協会としては、容認しがたい点がある。国家資格化のために尽力していただいた議員連盟の先生方には心から敬意を表すものであるが、当協会としては修正を要望している通り、現状の「臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子(案)」については、反対せざるを得ないと判断したものである。
 以上、心理職の国家資格化については、原点に返り、法的にも医師法、保助看法との関係も明確なものとして、再考されるべきものと勘案する。先にも述べたように、当協会としては、医療現場における心理職の国家資格化については、十分その必要性を感じており、今後とも十分議論を重ね、各種関係団体が合意出来る国家資格化を実現することを切に願うものである。

日精協の意見に対する私見です。ファックスの送信状(挨拶文)も含めて5枚あるんで便宜的にP1~P5とします。『 』が引用です。

『精神科の医療現場のみならず,教育,産業職域現場などで大混乱を来たすと憂慮』(p1)
たしかに,精神科医療の現場は混乱するかもしれません。資格が2つできるから。だから,1つにしよう,せめて名前だけでも一緒に,連続性をもった資格を!と呼びかけているのは臨床心理士会側,それを拒んでいるのは(日精協がおしていたはずの)医療心理師側。他の現場では国家資格ができたからといって混乱するとは思えません。なぜならば現在の臨床心理士の活動の『現状を追認』(p4)する法案だからです。学校現場のことにも触れられています(p5)が,そんなことわかったうえでどういうふうにスクールカウンセラーが学校に入っていくか,どう機能するか,ということが学会,各地の臨床心理士会(SC部会を中心に)などなどさまざまなところで検討がなされ,よりよい活動が模索されているのです。

『精神科医師の関与する関連医療団体との意見交換はまったくなく』(p1)『寝耳に水』(p1)『議員立法として拙速に法案が提出』(p3)
言ってることがおかしいです。まったくおかしいです。意見交換がなされてきたことは,下記のホームページなどからも明白です。日精協の関係者も出てますよ。
http://www.onyx.dti.ne.jp/~psycho/report01.htm
さらに時間をかけてゆっくり資格化を考えようとしていたのが臨床心理士会側。全心協が暴走するもんだから,臨床心理士の国家資格化を急がねばならなくなったわけです。
しかし,議論は何十年もされているわけで,今さら寝耳に水なんて…
日精協の本音は,(数名の日精協の医師の話をまとめると)「あんまりよく分からないままに全心協を応援してみたけれど,すぐに国家資格できるなんて思ってなかった。医療心理師だけならまだしも臨床心理士まで国家資格するなんて。っていうかかわいのおじいちゃんがいろいろ決めていくのが気に食わない。こっちが32条問題で精一杯の間に勝手なことを…」という感じのようです。その程度のものだから,反対意見も穴だらけ。
開業可能ならば,そっちに患者さんが流れて困るというのも被害妄想です。今でも開業しているところはあるのですから。そして,開業についても保険扱いしてほしいなんて誰も言ってません。だから開業をめぐる状況も大きな変化はないはずです。

『現在行なわれている「心理学的行為」の適切性の検証ならびにその知見に立った研修・教育制度の整備』(p4)
そのとおりです。だから,そういう研究がなされてるわけです。だから,修士レベルの資格なんです,臨床心理士は。カリキュラムには確かに問題があって,充実しているはずの指定大学院であっても,学部教育は貧弱だったり,また偏りがあることも事実。今回の法案で臨床心理士は学部4年プラス修士2年の6年ということになり,カリキュラム改革の突破口となるはずです。
そして,本当は更新制にしたいのです。精神科医の先生方が「医者も看護も更新制導入するからその先駆けとして心理士の更新制に賛成してください」と厚労族議員に働きかけていただきたいものです。

『受験資格に示された教育課程において医学医療分野の履修の必要性はまったく述べられていない』(p4)
『臨床心理士資格認定協会の資格試験の内容は…医学ならびに医療に関する知識はまったくとわれていない』(p4)
法案自体には書かれていなくても,いずれも医学医療分野の科目を入れる,医療心理師のほうが医学科目は厚めにという話になっているのですよね。河村建夫議員のホームページに(なぜか肝心の「質疑応答」部分が見れなくなってしまってますが)書いてありましたよね。
現在の臨床心理士の受験資格でも「精神医学」にかぎっては履修が必要とされていますし,試験問題にも出てきます。

『臨床心理学における心理学的査定と,精神医学的診断体系は現時点ではまったく異なる。例えば…』(p5)
そうです,違いがあるから専門性があるのです。
例として挙げられているうつ状態の峻別(診断)について。臨床心理士がその専門性を超えた援助はできない,できないことしない,できるところへリファーするというこは,倫理綱領にも入っているし,大学院での教育などでもきつく言われることであるし,資格試験の問題にも出てきます。「心理的な問題」として来談したクライエントを医療機関へリファーするために,どの程度の医学的知識が求められるかについては,ぜひ新しい臨床心理士の認定機関に精神科医の先生方にも入っていただいて,ともによい資格をつくるためにご協力いただきたいものです。
『保健医療以外の分野においても,臨床心理士の「心理学的行為」には「医師の指示」が必要』(p5)というのはあまりにも無理があります。「最近気分が沈んで気持ちをしゃきっとしたいから元気のでる野菜をくださいな」と客が八百屋さんに行ったとして,その客が甲状腺機能低下症による「気分が沈んで…」の可能性があるから…という理由で八百屋さんにも「医師の指示」を広げますか?そんなことしないですよね。
確かに八百屋に比べれば臨床心理士(開業など医療機関でない相談機関)のところへ来られる人で医療的な問題をもつ方は多いでしょう。でも,すべてではないのです。一部医療的なケアが必要な方に医療機関を紹介することが臨床心理士には倫理的にも能力的にも求められるのは確かでしょう。でもそれをもって,保健医療以外にも「医師の指示を」とか資格化反対というのはおかしいです。

法案を通す(全心協系の議員にも配慮する)意味では非現実的かもしれませんが,臨床心理士に一本化して,資格認定やカリキュラム作りに精神科医にも参加してもらうことで,うまくいくように思うのですが。

対立の構図は「精神科医VS全心協系議員(心療内科医)」です。「精神科医VS臨床心理士会」ではありません。やつあたりされても困ります。

さっきのコメント、「日精協の意見に対する私見」ではなくて、「日精診(日本精神神経科診療所協会)の意見に対する私見」でした。失礼しました。

こころしかく さま

 いよいよ大詰めになって来ましたね。
 予想されていたとはいえ、国会議員さんたちが議連を作り、国民の代表として国民のために、郵政民営化の慌しい時期に、国家資格を作るために汗を流してくださっているなか、土壇場になってから反対声明がこういう形ででるとは、びっくりです。
 一部の精神病院や精神科クリニックの「偉い院長先生方」にとっては、「心理なんて、一従業員で医者の家来に過ぎないのに何を偉そうに開業だ」という思いが強いかもしれません。でも、この16年の間、医療では医師の家来(それも資格がないために他の職種よりも弱い立場で、一番に首を切るのはお前からと脅かされていた職種)がそれなりに、スクールカウンセラーや心ある医師とペアを組めた運のいい心理たちは着々と実績を積み、大学に移り、多くの若い優秀な人材を集め育てていたのです。そうでなければこの短期間にこれだけの人が精神神経学会よりも会員を有するまでに心理臨床学会が成長することは不可能だったと思います。
 短期間に国民の皆様の18万人の署名と医療従事者のみの署名もかなり集まったという事実も、広範囲にわたる臨床心理職の国家資格は国民の願いでもあることは、誰の目にも明らかです。それだけ、国民は、まずは精神科受診をせずに、話を聞いてもらえ相談できる専門家を望んでおり、またこの15年間にその期待にわれわれが力不足ながらも、そのニーズにおこたえしてきた結果でもあると思います。
 先生方には、この国の人々が必要としている心理職を作ってほしいという社会的な流れをお汲み取りいただき、精神科医と手を携えて、次世代の心理職を生み出す新たな一歩を踏み出したいと願っています。

上記のコメントは、私のミスで名前が「雨」となっていますが「雨のち晴れ」が書きました。申し訳ありません。


 本日、午前中、日本精神診療所協会より各会員宛に、法案に反対声明をだすよう、地元の国会議員にすぐ℡をいれる旨のFAXがあったようです。
  

yuiさん
コメントありがとうございます。まったく同感です。仲間割れしている医療心理師側に対しては、これまで協力してきた国会議員やお役人も眉をひそめていると思います。医療心理師諸団体の信用がた落ちですね。

雨のち晴れさん
ご意見ありがとうございます。今回の反対は、一部の団体の役員がリードする形で進めており、多くの精神科医を代表する見解では決してないでしょう。

コマノマコさん
情報ありがとうございます。いきなり唐突な意見を持ち出す彼らに対し、国会議員の皆さんはどんな思いで対応するのでしょうか。

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