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2005年6月に作成された記事

2005年6月30日 (木)

「緊ブロ」の記事カテゴリーを整理しました

最近、このブログへのアクセス数が急増しており、以前の記事を体系的にご覧になりたい方も多数おられると思います。そこで、記事のカテゴリーを以下の7つに整理しました(あとこのブログ名称を「緊ブロ」と略すことに・・・。ちょっと危険ですね)。

1.あるべき心理職国家資格の姿…ちょっと私の私見も入ってますが、医療との距離を含 めて心理職の国家資格はどうあるとよいのか、考える材料を提案していきます。空論にならないよう、なるべく現状に即して考えます。

2.医師の指示…一にも二にも、今回の国家資格化騒動の元凶はこれです。法律でいうところの「医師の指示」とは何か、そして「医師の指示」問題の背景、社会的視点からの意味などを整理しています。ちょっと力が入っています。

3.医療心理師は問題…医療心理師法案にひそむさまざまな問題を指摘しています。医療分野の心理士の立場の向上という純粋なところからスタートしながら、さまざまな利権や我田引水などの動きが集まり、まったく国民のためにならないものとなりました。この資格の問題点をさまざまな観点から論じます。

4.2つの国家資格並立は問題…現在の情勢は、2つの心理職国家資格を作ってしまえというものです。2つできることの問題点を議論していきます。2つの資格ができてしまうことで、どんな影響がでるのか考えます。今週はここと上記3を包括的に扱います。

5.政治における情勢…国会やその周辺でどのような動きとなっているか私の知りえる情報をアップしていきます。うわさやデマも多いので、そのあたりも整理し、情勢分析や解説をできればと思っています。7月上旬にいよいよ審議入りの可能性が高いですので、皆さんと細かくチェックしていければと思います。

6.私たちにできること(署名含め)…政治の世界のことですが、この時期だからこそ意外と私たちにできることもある。そんなことをいろいろと情報提供&提案していきたいと思います。審議入りの前後が、国会議員の方々の関心が一気に高まります。ブログでの書き込みも大きな影響を及ぼす可能性がありますのでよろしくお願いいたします。また、医療機関に勤務されているみなさん向けの署名活動にどうぞご協力ください。

7.私の思いやこのブログの運営…こちらは、私の個人的な思いやこのブログの運営などについてふれていきます。雑談や余談なんかも書きたいところですが、書く余裕あるかなー。

関心のあるカテゴリーを、右端のカテゴリー一覧から選んで読むことができます。どうぞご利用ください。

実践現場で働く心理士のみなさん、他人事だと考えないで、どうぞいろいろとご意見をおよせください。素朴な意見なども大歓迎です。私のこれまでの反省として、国家資格の問題をあまりに上の人たちにまかせすぎていたな、と思っています。実践現場の心理職の声を大きくして、心理臨床のあるべき姿を資格という観点からもめざしていきましょう。

2005年6月29日 (水)

「医療心理師&臨床心理士」法案審議は来月へ?

本日(6/29)の衆議院厚生労働委員会での心理職国家資格法案審議はありませんでした。次回いつ開かれるかは未定のようです。一方、参議院厚生労働委員会は昨日(6/28)開催でしたが、こちらでも審議はなしでした。

ということは、いよいよ7月に入りますね。

衆議院の厚生労働委員会は衆議院TVでリアルタイムでチェックできます。

一方、参議院の厚生労働委員会は参議院TVでリアルタイムでチェック可能です。

私もまめにチェックしますが、審議入りなどの情報があれば、コメントに書き込んでいただければと思います。

ちなみに、法案の内容のみならず、付帯決議(実施にあたってはこんなことを気をつけなさい、など)も重要ですから、こちらも衆議院&参議院TVでしっかりチェックしましょう。

2つの類似資格はダメ

もし、教師が、病院で授業をするために、「医療教諭」の資格を作ったら?

もし、弁護士が、医療分野で働くために、「医療弁護士」の資格を作ったら?

もし、税理士が、医療分野で働くために、「医療税理士」を作って医師の指示下になったら?

もし、精神保健福祉士の一部の人が、診療報酬を確実にするために、医師の指示が資格全体に及ぶ、「医療精神保健福祉士」を強引に作ったら?

一般の常識から考えておかしいですよね。

業界内の調整だけで2つ並立というのは、どんなに変なことか。どう違うのということで医療の現場は混乱するでしょうし、そもそも国民のためにまったくならない。

しかも「医療」とついていながら、「医療行為」は行わない資格だとしたら・・・。それってどういうこと!と思われた方は「医療心理師は福祉職」をご覧ください。

「医療」とつけたのは「医師の指示」を資格全体に及ぼすためのある団体の権益拡大の意図が背景にあるとしたならば・・・。(「「医師の指示」に対する心理職の姿勢 4」参照)

2つの資格「医療心理師」「臨床心理職(士)」並立は、だめですよ。

2005年6月28日 (火)

「医師の指示」に対する心理職の姿勢 ちょこっとのふりをした話 4

「医師の指示」の議論は、この3つのレベルを慎重に見極めながら行わないと、すぐに「医師の指示を受け医療分野に入りたいか」それとも「医師の指示を受けず医療分野に入らないか」という2つの選択肢にまどわされることになります。これは医師会や医師会の意向を汲んだふりをする一部の人たちによってよく主張されるレトリックであり、法律的な厳密な議論に基づいていません。日本は法治国家ですから、ある団体の意見が大きいからといって、スジの通らない話は通らないわけです。

もし「医師の指示を受け医療分野に入りたいか」それとも「医師の指示を受けず医療分野に入らないか」という2つの選択肢を迫られたとき、私たち(心理職)はこう答えましょう。

「医療分野にも入りたいです。だからもちろん医師の指示を受けながら仕事をする覚悟もあります。でも資格全体には医師の指示がおよばなくてもよいでしょう。事実上医師の指示を受けると考えれば、資格の一部分に医師の指示をかぶせる必要もないと思いますがいかがでしょうか」

しかし、一部の心理職グループは、この2つの選択肢の裏の意味を読みとれなかった。そして、「医師の指示を資格全体に受け医療分野に入りたい」を選択してしまったわけです。乱暴な議論、誘い水、わなにはまってしまったのです。心情は理解できます。苦しい医療現場での実践ですから、この誘い水にのらざるを得なかった。たぶん、この機会を逃せば永久に国家資格はできない、といったおどし文句もあったのでしょう(この種の資格問題で必ずでる常とう文句です)。しかしこの選択が、心理職の築いてきた世界を崩し、医療現場を混乱させ、国民をとまどわせ、法律の理念をふみにじり、医師の権益を拡大する、そういう選択であることに深く気づく必要があると思います。

(3つのレベル:再掲)

1.資格全体に「医師の指示」がおよぶ

2.一部業務に「医師の指示」がおよぶ

3.一部業務に「医師の指示」が事実上およぶが法律には明記されない

ちょこっと(でなくなっちゃった)「医師の指示」の話 3

(3つのレベル)

1.資格全体に「医師の指示」がおよぶ

2.一部業務に「医師の指示」がおよぶ

3.一部業務に「医師の指示」が事実上およぶが法律には明記されない

<3.法律未明記>

医療機関で働くスタッフすべてには、管理者(院長・医師)の指揮下に入るという意味で、「医師の指示」を事実上受けるということになります。事務職も掃除をする人も、病院で働いている限りは事実上「医師の指示」に入るということになります。しかし、このことは資格の法律には触れられていないでしょう。これは医療法15条に「従事者の監督」として医療機関の管理者が定められているわけです。管理者は、事実上医師にしかなれません(医療法人なら医師以外でも理事長になれますが、院長はやはり医師でしょう)。

ですから、よく医療機関で働くなら医師の指示に従ってもらわないとこまる、だから医師の指示下の資格でないとだめ、という意見をいう人がいますが、そんなことはありません。医療機関で働く人は、すべて管理者である医師の指示に事実上従うことになっているわけです。たとえば資格のない事務職の人は、資格としては医師の指示は受けないのですが、だからといって言うことを聞かずやりたい放題ということにはなりません。

くりかえすと、医療機関で働きたいなら「医師の指示」資格となれ、というのは、あまりにも乱暴なおどし文句です。現に、精神保健福祉士は「医師の指導」という職であるけれど、医療機関で働いています。「医師の指導」資格だからといって、医師の指示に従わなくてよいかといったらそんなことはない。医療機関に勤めている限り、医師である院長の指揮下で動かなくてはならず、事実上医師の指示下におかれるということです。

ちょこっと「医師の指示」の話 2

(3つのレベル)

1.資格全体に「医師の指示」がおよぶ

2.一部業務に「医師の指示」がおよぶ

3.一部業務に「医師の指示」が事実上およぶが法律には明記されない

<2.一部業務>は、言語聴覚士のような場合です。言語聴覚士は資格自体には「医師の指示」はないのですが、嚥下訓練といった一部業務は医療行為となり、それに関しては「医師の指示」がおよぶわけです。ここにも「医師の指示」は医療行為に関してという原則が貫かれているわけです。

ここで医師の指示下の嚥下訓練が医療行為となるからといって、嚥下訓練が医療現場以外で行われなくなるということにはなりません。嚥下訓練自体は「あいうえお」と声を出すものからさまざまなレベルのものがあるわけです。それらすべてを医療行為として規制するとするならば、国民の自由を侵害する憲法違反ですね。そしゃくのちからを鍛えようと「あいうえお」ということが法律違反になる社会なんて、おそろしい人権侵害社会ですよね。

つまり、ここでいう「嚥下訓練」とは、医師が訓練必要と慎重に見立て、どのような訓練が必要か検討し、言語聴覚士がその意図をきちんと読みとり、高度な嚥下訓練を含めて実施し、その効果を充分アセスメントし、医師にもきちんとフィードバックし、そのことを診療録に正確に記載する、といったプロセスが、医療行為となるわけです。

ロールシャッハテストについても同じことが言えるのではないでしょうか。同じ文章を繰り返してみます。医師がロールシャッハテストの必要性を慎重に見立て、どのようなことをアセスメントしてほしいか検討し、心理士がその意図をきちんと読みとり、ロールシャッハテスト(も含めたテストバッテリー)を実施し、その結果を充分分析し、医師にきちんとフィードバックし、そのことを診療録に正確に記載する、といったプロセスが、医療行為となると考えればわかりやすい。

医療機関以外の場所で、医師の指示ではなく違うプロセスで行われるロールシャッハテストは、当然医療行為ではないわけです。医療現場以外では、ロールシャッハテストが臨床心理行為として体系化されたプロセスとして実施されるでしょう。ただし、医療行為となるためには、医師の指示、医師へのフィードバック、診療録記載などのプロセスが求められ、そのプロセスが基準通り行われた場合にのみ医療行為となり、診療報酬の対象となるということです。医療行為として行う場合は同じことが心理面接に関しても言える。医師の指示下で行われる医師と密接に連携した心理面接プロセスというものは、医療行為と考えてよいでしょう。医師の指示では行われない心理面接は、当然医療行為ではないわけです。この概念の整理が充分に行われないと危険なことがおきます。今の医療心理師法の脇の甘さでは、ロールシャッハテストは医師の指示がなければ実施できないという風潮が高まったり、官僚が行政指導でその圧力を強めることがとても容易になります。

「医師の指示」をちょこっと考えてみました 1

心理職の国家資格化における「鬼門」である「医師の指示」問題についてちょっと整理しました。3つのレベルにまとめられるでしょう。

1.資格全体に「医師の指示」がおよぶ

2.一部業務に「医師の指示」がおよぶ

3.一部業務に「医師の指示」が事実上およぶが法律には明記されない

<1.資格全体>は、最も強力に医師の管理下におかれる場合です。医師の指示に従わなかったことで、法律論上は責任を問われる場合もあります。「命令」という意味合いが強いと言ってよいでしょう。よく「医師の指示」といっても連携してやっているから問題なし、ということを言う人がいますが、それは間違いです。臨床上の重要な判断が求められた時や事故が起きたときに、法律論のこの考えが決定的となります。だから医師会はここをカードとして離さないよう動くわけです。

資格全体に「医師の指示」をかけるということは、その資格者の人格や倫理的な考え方すべてに、その考え方がおよぶということです。その資格者の行動すべてに規制をかけるわけですから、法的には明確な根拠が求められます。その根拠が、医療行為なのかそうでないのかということです。医療行為を行うのならば医師(+保健師・助産師・看護師)の独占業務だから、「医師の指示」に従うことになるわけです。医のなわばりに入りたいなら親分に従いなさい、ということです。

つまり「医師の指示」と「医療行為」はセットになった考え方ということです。ところが、医療心理師法(案)では、こんなことがおこりました。医のなわばりに入れたふりをさせてあげるから、親分に従いなさい、ということです。「入れたふり」というのは、医療行為ではないけれど医療保険点数はつくかもよ・・・、という呼び水です。もっというなら、医療保険点数はつくかもしれないしつかないかもしれないよ、でも親分に従っておかないと絶対に難しいだろうなー、というつぶやきですね。一部の心理士がそのつぶやきにおびえ乗っかってしまいました。乗っかるだけなら心情的にはわからないでもないけれど、乗っからない人たちはわかっていない心理だと批判し差別化を始めたのです。

2005年6月27日 (月)

医療現場で働く臨床心理士の皆様へ: 署名のお願い(再度)

署名活動の第二段である「医療機関勤務者向け署名」ですが、短い期間にもかかわらずすでに数千人の署名が集まっているようです。この署名は、医療現場の声として、2つの国家資格が現場を混乱させること、名称をそろえ連続した資格とすること、など具体的な一本化の提案を行っています。

現在の国会での状況は、まだ一部の国会議員の間で、2法案並立でいこうという方向が決まっただけですから、今後のアプローチで状況は充分変わります。1997年成立の精神保健福祉士法でも、「医師の指示」がはずれ「医師の指導」となったのは、最後の最後と聞いています。国会の委員会への審議入りをにらんだこの時期が、国会議員の認識も急速に深まり、正しい理解を得られやすい時期です。正しい情報を議員の先生方も強く求めているはずです。

ですから、医療関係者が、2つの国家資格を望んでいないことを、署名活動で訴えていくことは非常に効果的です。この署名は、2つの国家資格はこのご時勢無駄だよな、と心の中で思っている国会議員の心理を直撃します。本資格問題の最大の山場になります。

このように国会審議に大きな影響を及ぼす署名活動ですから、さらに多くの医療関係者の方の署名をお願いいたします。特に医療現場に少しでもかかわる臨床心理士の皆さんには、医療現場を直撃する事態ですから、ぜひともダウンロードして署名をお願いいたします。

また、近くの仲間の臨床心理士にもぜひとも勧めてください。ダウンロードが難しい方もいらっしゃいますから、署名用紙をコピーできる方は、コピーをお知り合いの方にお配りください。締め切りが6/30ですが延長しても大丈夫と思います。

この署名に名前を書いた後に、医療心理師が万一できたらとりにくくなるのでは、とか、立場の違う署名をしたのに(万一できた)医療心理師の資格をとらざるを得なかったら態度を急に変えるようでいやだな、とお考えの方もいるかもしれません。心配しないでください。この署名の氏名等が外部にもれることはありません。また、個人的な信条と現実に資格をとるという行動とはわけて考えていきましょう。もし「支持しない国家資格をなぜとるんだ」という人がいるとしたら、それこそ権力に名を借りた弱い立場の人に対する「いじめ」ですよね。お上の判断に翻弄されながらもたくましくやっていきましょう。

今は生の声を国会議員に届けることが最優先です。どうぞよろしくお願いいたします。

2005年6月26日 (日)

80名近い国会議員が賛同 - 「臨床心理職」18万人署名

いわゆる「臨床心理職(士)」推進側が進めてきた「臨床心理職の国家資格の創設に関する請願」の署名18万人に対して、衆議院、参議院あわせて80名近い議員から賛同してもらえる情勢のようです。先週から18万人の署名が、約80名の国会議員事務所に手渡しで届けられています。短い期間でこれだけの署名が集まったことで、国会議員の方々も臨床心理士のこれまでの活動を実態を持ったものとして理解してくださっているようです。これらの署名は国会議員の先生方を経て、国会に請願として提出されます。そして、いずれかの委員会で検討されます。

この署名は、汎用資格(教育、医療、福祉、司法、矯正・保護、産業などのさまざまな分野)であり、大学院修士課程(6年)を目指しているものです。この資格に80名近い全国の国会議員から賛同が得られた意義は非常に大きいと思います。(人数の関係上、今回お声をおかけできなかった先生方も多数いらっしゃいます)

議連レベル(つまり国会議員の連絡会)ではなく、具体的な署名に対し賛同し、請願の紹介議員となる責任は大きいものです。議連参加はその法案に賛成というより情報収集のために名前を連ねるということがよくあるようです。今回署名を受け取り請願の紹介議員となってくださった議員の先生方は、「臨床心理職(士)」国家資格化に大きな力になっていただけるものと思います。

このような汎用資格ができるならば、学部卒の「医療心理師」を新しく作る必要性はほとんどなくなるでしょう。何度も繰り返していることですが、現状の医療分野の心理職は、多くが「臨床心理士」です。約4千人の「臨床心理士」が医療現場で働いています。4年生大学卒のみの心理士は公務員や一部の病院を除いてほとんどいません。ましてや「医療心理士」なる資格は現状では存在しないのです。

この現場の現実を見据えた上で、今回の80名の国会議員の先生方に続いて、多くの議員の方々に現状を理解していただければと思います。そして、「臨床心理職(士)」の国会資格化が実現することを祈っています。また、医療心理師の無理に気づいて国会で発言していただくことを期待します。

2つの国家資格の並立 (これでよいの・・・そのⅡ)

今回の2つの法案で私が最も注目したいところは、「臨床心理職(士)法」において、文部科学省と厚生労働省の共同所管となるという点です。詳しい内容が明らかになっていないのですが、もし本当であればすごいことです。
そして、「臨床心理職(士)」が、汎用(医療分野にも参入可)、大学院修了、医師の指示が一部のみ、ということであれば、現状の心理臨床家の実情にぐっと近づきます。国民にとってもわかりやすいですね。

ただし、医師の指示という点はやはり納得がいきません。医師の指示の根拠は医療行為ということなので、もし医師の指示を一部でも行うならば、その部分に関しては保助看法をひらくプロセスが必要ではないでしょうか。

ちょっとこだわりすぎじゃないのという意見もありそうなので、なぜ私がここにこだわるかを少しお話します。法律の根拠なし(つまり保助看法をひらくことなしに)に「医師の指示」を認めるということは、厚生労働省の通達などで簡単に指示の範囲を決めることができます。役人の裁量で、いかようにも医師の指示範囲を拡大することも可能なのです。そして、この役人の裁量権は利権や発言権の温床となります。

それに根拠のない「医師の指示」は、今後さまざまな分野の資格や業務で拡大される可能性があります。医師が少しでも関与していれば、「医師の指示」をかぶせていく。たぶん、介護分野で「医師の指示」の拡大を狙っていくでしょう。介護保険の莫大な権益に食指を伸ばしている、そんな構図が見え隠れします。

ところで今回の臨床心理職(士)の国家資格を冷静にみるとあることに気づきます。それは、臨床心理職(士)があれば、医療心理師はあえて作る必要はないということです。共同管轄、医療参入可、医師の一部指示、これまで実現不可能ということが臨床心理職(士)で解決されようとしているわけです。ならば、わざわざ税金をかけて、今日本にひとりもいない医療心理師を作る必要があるのか、もう一度考え直した方がよいのではないでしょうか? わざわざ医療心理師を作るなんて、税金の無駄遣いですよね

2005年6月22日 (水)

心理職国家資格の分類 : 厚生労働省での扱い

 「2つの国家資格の並立」という事態となったので、ややタイミングをはずした内容ですが、実はこれからの議論で重要と思っているのでアップしました。

***

 厚生労働省において国家資格を考える場合、医療職福祉職の資格化が一般的です。医療職の場合、医療行為を行う場合は、「診療補助行為」を行うために保助看法を開くことになります。診療放射線技師理学療法士などはこのタイプで、医師の指示の下の資格となります。このような資格を、「診療補助職」資格(Aタイプ資格)と呼びましょう。

 一方、精神保健福祉士社会福祉士介護福祉士などは、福祉職であり、医療行為は基本的には行いません。「診療補助行為」を行わないということです。ただし、主治医がいる場合は指導を受けるという形となります。社会福祉士介護福祉士は「医師やその他の医療関係者との連携を保たなければならない」と規定されています。これを「福祉職」資格(Bタイプ資格)と呼びましょう。

 診療補助職ではなく、つまり医療行為は行わないが、医療類似行為を行うという資格があります。これは、あん摩マッサージ指圧師柔道整復師などです。これらの資格の施術への支払いは、まず患者が費用全額を施術者(あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師など)に支払った後に、患者が保険者等に請求するという形が原則です。ですから一般の医療機関での診療報酬支払いの仕組みとは大きく異なります。このようなタイプの資格化を「医療類似行為」資格(Cタイプ資格)と呼びましょう。

 そして、言語聴覚士のような、限定された一部の行為に関して「診療補助行為」を医師の指示の下で行うことができて、資格全体は医師の指示の下にはない資格を、「言語聴覚士」資格(Dタイプ資格)と呼びましょう(参照:心理職の国家資格へのモデル

<上記をまとめると>

Aタイプ:「診療補助職」資格  … 医療行為を行うことがその資格のほぼすべての役割

Bタイプ:「福祉職」資格     … 医療とも密接に連携するが基本的には地域生活の支援

Cタイプ:「医療類似行為」資格 … 伝統的に保健的行為を行っており一部は医療と関係している

Dタイプ:「言語聴覚士」資格  … 医療行為も行うが地域生活支援も重要な役割

 ここで「医療心理師」法案は、Bタイプの資格でありながら、「医療」という言葉を使うことでAタイプと誤解されやすくなり、Aタイプでないにもかかわらず「医師の指示」を資格すべてに与えようとしている資格であることがわかります(参照:「医療心理士」は福祉職!)。これを「AもどきBタイプ資格」と呼ぶことができるでしょう。

 一方、「臨床心理職(士)」法案は、「Bタイプ資格」を目指していくとよいでしょう(と思っていましたが・・・)。主治医との関係は指導、連携関係という方向を目指しています。ただし一歩踏み込んで、医療行為と認定できる一部分に関しては、医師の指示下に入ることも検討してもよいでしょう。こうなると「Dタイプ資格」となります(んー・・・)。

***

  ところが、このほど合意された一本化案では、「臨床心理職(士)」案は、文部科学省所管の「教官職」となっており(たぶん?)、厚生労働省での位置づけがはっきりしません。両省の共同所管という表現もあり、いまひとつ位置づけがみえないですね。この点のくわしい情報をお持ちの方はコメントをください。

 また、Cタイプの資格化については諸事情があり難しい状況です。今回の並立案でも触れていなかったですね。

***

 はたしてどのタイプが、国民のためになり、そして心理職の活動をより有意義なものとするのでしょうか?

医療機関勤務者向け署名:期限を6月末日まで延長

臨床心理職」の国家資格を目指す有志による署名活動ですが、国会延長にともない、期限が6月末日まで延長となりました。

この署名活動は、医療現場で地道に働いている多くの臨床心理士の声を国会に届けるためのものです。18万人以上が署名した「臨床心理職の国家資格の創設に関する請願」に続く「臨床心理職(士)」活動と位置づけられます。

ちなみに「医療心理士」側は、医療現場には「認定心理士」が多数働いている、と国会議員に語っているようです・・・・。どう思われます?

署名用紙は日本心理臨床学会ホームページからダウンロードできます。

2005年6月19日 (日)

意見をお寄せください(コメントOK)

 議連幹事レベルで心理職国家資格の原案が固まりました。2つの国家資格並立というきわめて政治色の濃い「一本化」です。

 そこで本ブログでは、本日からコメントを受け付け、現場や国民の声を示していこうと考えています。

 皆さんのコメントをお寄せください。

 あと雰囲気も夏らしく変更です!

2つの国家資格の並立(これでよいの?)

 すでに報道がされているように、「医療心理士」「臨床心理士」が2つの国家資格として併存する方向に、議連の幹事(国会議員)の話し合いで決まったようです。これは、現場の意向を考えない政治的決着を目指すものです。報道ではもう最終結論という書き方をしているものもありますが、まだ一部の議員の合意であって、決定したものではありません。

 本ブログで再三にわたって述べているように、2つの国家資格を作ることは、税金の無駄遣いであり、臨床現場も混乱し、国民のためにもなりません。「医療心理士」は全く実態のないもので、一部の団体が作り出した政治的産物です。すでに実績のある「臨床心理職(士)」で国家資格を一本化することが、最も有効な選択と考えます。

 国会も延長され、夏に向けて国家資格の議論が白熱してくるものと思います。今回、このような政治的決着がはかられようとする事態となり、本ブログでもさらに議論を活発化していこうと思います。本日からコメントを受け付けることにしましたので、皆さんの意見をコメントでお寄せください(ただし個人攻撃や関係のないもの、品位を失したものは、こちらで調整させてもらいます)。

2005年6月17日 (金)

学部卒資格「医療心理師」への懸念 - カウンセリングは難しい

 私は臨床歴10年以上の臨床心理士です。学校や病院、企業でのカウンセリングを経験しています。カウンセリングや心のサポートの専門家として育つには、単に知識を得たり技法を学んだりするだけでは不十分です。また、実習も数週間とか数ヶ月のものでは足りないと思います。

 今日面接した方々も、笑顔あり涙ありのさまざまな人生の一場面を語り、そして沈黙し、将来を思い描き・・・、人生との出会いでした。もちろん全力で私は対応するのだけれど、後でこうすればよかったと反省したり自分の鈍感さに改めて直面したりも多いのです。カウンセリングは、クライエントとあっている時間のみならず、面接が終わってからのカウンセラーの心の中での熟成がとても大切になる。もちろん同じことがクライエントにも言えて、カウンセラーと会っていない時間が彼らにとっての大切な成長の時間となるのでしょう。それをまた次の面接で語り合う・・・。

 このような出会いを大切にする面接を行うためにも、自分とは何ものなのかとか人をささえるとはどういうことなのかとか、そして自分はどんな弱さを持っているのかなど、深い自己理解と自己研鑚が、心を支援する職業には必要と思います。

しかし、あまり早い年齢で臨床の場に押し出されてしまうと、自己理解や自己研鑽より、知識の習得とか面接技法の体得に追われ、クライエントを自分の知識にあてはめて理解しようとする危険性があります。面接技法を実行する対象としてしかクライエントをみることができなくなる。これはとても危ないことであり悲しいことです。学部4年間で資格を与えようという「医療心理師」では、このような「人と真の意味で出会えない」心理カウンセラーを生み出すことになるのではと、私は本当に心配しています。

知識の習得や面接技法の体得の基本は学部4年間でやった上で、厳しい自己理解や自己研鑚をより高度な知識や面接技法の習得とあわせて行う大学院修士課程の教育が、私はぜひとも必要と思います。本当は大学院修士課程でも不十分かもしれない。しかし、大学入試以外にもう一回大学院の入試をくぐりぬけ、心理の専門家としてやっていこうと覚悟しているのならば、十分厳しい自己研鑽に臨んでもらえると思う。

私も大学院修士課程で多くのことを学びました。同世代は大卒で就職して働いているので、自分はなぜこの道を目指そうとするのか何度も考えざるを得なかった。正直言って苦しかった。でもその何度も問い直した経験は、今ではとても良く役立っています。そして今でも問い直しています。「私はなぜこの仕事をやり続けているのか?」

2005年6月16日 (木)

「臨床心理職」署名18万人へ

 2005/4/7から始まっていた「臨床心理職の国家資格の創設に関する請願」の署名活動ですが、全国的に大きな反響があり、6月中旬で18万人に達する状況となったようです。短期間の署名活動でこれだけの数が集まったことで、政治レベルでの「医療心理師」「臨床心理職(士)」国家資格の調整に、大きな影響があるでしょう。実践現場での活動実績のある「臨床心理士」の活動に対して、大きな応援の声が届いていることを示すものです。実態のほとんどない「医療心理師」に対する批判が強まることが予想されます。

2005年6月14日 (火)

やっぱり、へん! 2つの国家資格ができるのは・・・

 心の悩みを持ったA君(高校生)が、スクールカウンセラーBさんのもとを訪ねました。30分間丁寧に話を聴いてくれた臨床心理士のBさんはこう言いました。「あなたの悩みには病気によるものと性格など病気以外のものとがあります。病気の部分は病院を受診して医師とその指示のもとで動く医療心理師にみてもらいましょう。病気以外のことに限ってしか、ここのカウンセリングでは話ができないんです・・・」Bさんは苦しそうな表情をみせました。

 これは、医療心理師臨床心理職(士)の2つが資格になった場合の3年後の一臨床場面(予想)です(やや極端ですが・・・)。こころの世界は、病気かそうでないかわけられない連続的な状態であるにもかかわらず、それを日本社会の(一部の)都合によって分けたために、このようなことがおこり得るのです。医療心理士が「医療がからむ悩みは我々の仕事だ」と主張し始めたら・・・。

 話を戻しましょう。A君は首をかしげながら病院に行きました。医師の診察を受けた後に医療心理師のCさんのカウンセリングを受けることになりました。Cさんは大学を卒業したばかりで、たどたどしい言葉遣いです。A君は思わず聞いてしまいました。「C先生、大丈夫ですか」

 C先生はこう告白しました。「ごめんなさい。私は大学卒業してすぐにこの病院に来たから、よくわかっていないのです。医師の指示で働くからと言われていたので安心していたら、お医者さんは忙しくてあまり話もできない・・・」

 A君はすっかり不安になりました。そして心理カウンセラーだったら、病気であっても病気でなくても、悩みをしっかりと受け止めてもらいたい、必要な治療は病院で受けるにしても、どの場所であってもしっかりとした心理カウンセラーに相談にのってもらいたい、そう強く思いました。

 一部の専門家の都合で、2つの国民にとってわかりにくい国家資格を作ることで、どれだけ傷つく人々がこれから生まれるのでしょうか?悩んでやっと相談室にたどり着いた悩める人々に、国家資格のわかりにくい説明をどうしてしなければならないのでしょうか?

 今現在心理カウンセリングを受けている人々、そして将来に心理カウンセリングを受けるであろう人々にとって、わかりやすい国家資格が重要です。どの場所でも国家資格の心理カウンセラーの相談を受けられる、「汎用資格」が最も求められているでしょう。

2005年6月13日 (月)

心理職の国家資格へのモデル : 言語聴覚士

 現在混迷している2つの心理職資格案(「医療心理師」案、「臨床心理職(士)」案)を一本化しよりよいものとするために、言語聴覚士の国家資格が参考になります(言語聴覚士協会)。言語聴覚士は、医療分野のみならず、福祉、教育、開業など、多分野で活躍しています。そのため、1997年に成立した言語聴覚士法では、基本的な資格の性格を規定する部分(第2条)に「医師の指示の下に」という文言がありません。

 一方、嚥下訓練(飲みこみの訓練)、人口内耳の調整その他の診療補助行為については、医師の指示の下に行うことができることになっています(第42条)。この場合、保助看法が開かれています。つまり、言語聴覚士は、診療補助行為も行える医療職と考えることもできるのです。そして言語聴覚士が行うことができる診療補助行為については、厚生労働大臣が別に定めることになっています。

 このように、言語聴覚士は、基本的には汎用資格でありながら、医療資格という性格も有しています。柔軟に考え、また国民のニーズに耳を傾けるならば、このような国家資格を作ることも可能なのですね。この前例のない資格を作った時の関係者の努力はすさまじいものがあったのでしょう。

 今回の心理士の国家資格に関しては、すでに言語聴覚士の前例がある訳ですから、それをもっと打ち出してもよいのかなという気がします。汎用資格として一部は医師の指示下という考え方です。現在診療報酬で規定されている(医療現場で実施している)心理検査や精神療法を、医師の指示下で行うことができるという形にすれば、今の実態に近くなるかと思います。「医療心理師」側が最も気にしている診療報酬を得るという希望も満たすのではないでしょうか。

 現在の「医療心理師」法案では、このような前例があるにもかかわらず、資格自体は福祉職としながら、一方で資格すべてに「医師の指示」の傘をかぶせたものとなっています。これがいかに無理のあるものかは、 「医療心理師」は福祉職!(6月12日) で詳しく述べました。その背後にある策略については、このブログで今週考えていきます。

言語聴覚士法では、医療行為でなくても、主治医がいる場合は「医師の指導をうけなければならない」と規定されています(第43条)。これは連携に関して述べられているところです。「なければならない」となっていますが、指導に反したからといっても罰則の対象にならないのです。この考え方は、全面的に心理職の国家資格にあてはめることができるでしょう。「臨床心理職(士)」法案はこの考え方に近いのです。

 なお、言語聴覚士法においても、法施行後5年間は現任者に受験資格を認める特例措置を定めています。この考え方は心理職の国家資格化においても当然適用されるものと思われます。

2005年6月12日 (日)

「医療心理師」は福祉職!

 現在議員立法で検討されている「医療心理師」法案は、福祉職であることが明確となっています。「医療」という名称がありますので、当然「医療行為」を行う医療職という思われるかもしれませんが違うのです。

 現在医師、保健師・助産師・看護師以外で、医療行為を行える医療職には、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技師、救命救急士など、さまざまな職種があり、これらは保助看法を開くことで医療行為を行えることになっています。

 「医療心理師」(案)は、これらの理学療法士や作業療法士と同じ職種と考えている方もいるかもしれませんが、これらの医療職ではなく福祉職となります。それでは、「医療」という言葉をつけるのはまずいのではないでしょうか。「医療」という言葉を用いれば、国民の誰もが「医療行為」を行うと勘違いをするでしょう。そのような誤解を招く名称は、国民にとってわかりにくいものです。

 しかし、その矛盾のつじつまを強引にあわせるために、福祉職なのに医師の指示下におくという乱暴なやり方をどなたかが開発(!)した訳です。福祉と医療は基本となる考え方が異なる訳ですから、心理職としての福祉職をすべて医師の指示下におくのはあまりに無理があるといってよいでしょう。

ですから、福祉職である「医療心理師」から医療という言葉を削除し、また医師の指示を削除もしくは一部残し、主治医がいる場合は医師の指導を受けるという考え方が、国民にとっても最も受け入れやすい考え方となるのではないでしょうか。この方向は一本化の流れを大きく進めるものであり、「臨床心理職(士)」とほとんど境界がなくなります。

 しかしこのような考え方にブレーキをかける動きがあります。この動きこそが、今回の国家資格騒動を読み解く上でも押さえておかなくてはならない動きだと考えます。

2005年6月11日 (土)

医師の「指示」の問題点

法律論から言うと、医療の世界(医療行為)には、「医行為」と「診療補助行為」しかありません(実態はともかくとして)。そして「医行為」は医師しか行ってはいけません。医師以外が「医行為」を行うと法律で罰せられます。これを医師による「医行為」の業務独占というのです。

 一方、「診療補助行為」は、保健師・助産師・看護師(保助看)しか行ってはなりません。つまり、保助看師による「診療補助行為」の業務独占がなされています(保健師助産師看護師法31条、32条)。

ところがこの考え方では都合の悪いことがおきてきました。医療の高度化や細分化が進む中、医療の世界にさまざまな職種がかかわる必要性が出てきたのです。しかし、医療の世界には、「医行為」と「診療補助行為」しかありませんから、それらを業務独占している医師と保助看師以外の職種が入り込む余地がなかったのです。

そこで、お役人さんは考えました。保助看師の持っている「診療補助行為」の業務独占の一部を解除して(開いて)、新しく医療の世界に入ってくる資格者に分け与えるという仕組みを作ったのです。これを「保助看法を開く(一部解除する)」と言います。

実はもうひとつ「医療類似行為」という職種もあります。これに該当する職は、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師といったものですが、伝統的に行われていた保健領域の職種を、医療の枠組みとは異なるものとして法的に位置づけた訳です。この「医療類似行為」は医療行為には含まれません。

さて、医師の「指示」ですが、基本的には「診療補助行為」が医師の「指示」下で行われることになります。つまり、医師の「指示」が行われるのは、医療行為であるからです。そして、日本においては、それは「診療補助行為」を行えるよう「保助看法を開いて」もらわなければならないのです。逆に言えば、「診療補助行為」でなければ医師の「指示」を受ける必要はないし、またそのような法的根拠はない訳です。

ところが、今回準備されている「医療心理師」は、「診療補助職」ではないのです。つまり「医療心理師」は医療職ではないのです。では何なのか。実は「医療心理師」は福祉職なのです。ということは、医師の「指示」を受ける必要はない訳です。なのに、医師の「指示」ということになっています。これはおかしいですね。精神保健福祉士も福祉職ですが、医師の「指示」ではないですね。主治医がいる場合は医師の「指導」となっています。ちなみに「臨床心理職(士)」は、医師(主治医)の「指導」という形を目指しています。

ですから、「医療心理師」が医師の「指示」下におかれるというのは、大きな無理がある訳です。どうしてこんな矛盾することを無理強いしようとしているのでしょう。このことが私もどうしてもわかりませんでした。しかし、ここ最近の動きを見ていると、だんだん背後の策略がわかってきました。その策略については、また後日に。

2005年6月10日 (金)

医療機関勤務者向けの署名活動が進行中

 「臨床心理職」の国家資格を目指す有志による署名活動が展開されています。これは、医療現場においてすでに多くの臨床心理士が働いており、実績をあげていることをアピールすることが狙いです。10万人以上が署名した「臨床心理職の国家資格の創設に関する請願」に続く「臨床心理職(士)」側の活動と位置づけられます。

 この署名の要望事項は、「①国民や医療現場が混乱しないひとつの資格」「②名称を臨床心理士(仮称)」「③4年制卒と修士課程修了の2つの資格となるならば、連続性を持たせる」の3点です。署名用紙は日本心理臨床学会ホームページからダウンロードできます(締切が6/17と迫っています)。

 ここで注目すべきことは、「③連続性を持たせる」というところでしょう。つまり、4年制卒で一定の資格(受験)を持つことができるが、大学院修了となれば4年生卒の資格(受験)から質を上げた資格(受験)がとれる形となる、というイメージでしょうか。4年制卒が「医療心理師」、大学院修了が「臨床心理職(士)」を念頭にしていることを考えれば、4年生卒で「医療特定資格」、大学院修了で「汎用資格」と考えるのが、一番すっきりするかもしれません。そして名称を統一するならばかろうじて一貫性を保てる感じです。

 名称を統一するということは、単に名前の問題だけではなくて、職能団体の統一ということが重要だと思います。仮に2つの国家資格ができて、職能団体まで2つできたとしましょう。お互いがいがみ合い批判しあって、これでは国民のためになりません。心理職で2つの職能団体なんて、税金が無駄に投入されることになり、行政改革議員が黙っていないでしょう。ひとつの職能団体で、その中で「医療特定資格」と「汎用資格」の2つがあって、それぞれの有資格者が協力しながら、国民の心の支援を進めていく。そんな感じであれば国民の理解が得られそうです。

2005年6月 9日 (木)

厚生労働委員会の動きに注目

 現在、衆議院の厚生労働委員会は、45名の衆議院議員から構成されています。委員長は鴨下一郎氏(衆議院 比例区 東京)です。鴨下氏は医師(心療内科医)で背後に日本医師会がいる訳ですが、「医療心理師」側の議連の幹事長なのです。現在は「障害者自立支援法案」の質疑は焦点のひとつです。一昨日の6/7は参考人を6名呼んで質疑を行いました。この「自立支援法」は、障害者に応益負担(つまり福祉を受けるにはそれ相応のお金を払いなさいということ)を求める法律なので、関係諸団体からの反対の声もあがっています。この法案の扱いがどうなるか不透明な状態です。昨日(6/8)は「障害者効用促進等法改正案」の質疑などが行われました。

 「自立支援法」などの決着を待って、「医療心理師」法案の審議を強行するか、それとも「自立支援法」等の法案と並行する形で「医療心理師」法案の審議入りをするか、不透明です。通常ならば、「臨床心理職(士)」法案との一本化を水面下で行っているので、一方的に審議入りするのはかなり乱暴だと思います。しかし、国会ではかなり乱暴なやり方もありえますから、予断を許さない状況には変わりがないでしょう。

2005年6月 8日 (水)

2つの国家資格法案、私は悲しい・・・

 「医療心理師」と「臨床心理職(士)」、内容の違いはあれ、心理士として悩める人々のサポートをするという意味では変わりありません。そもそも、どうして2つを分けて資格にしなければならないのか・・・。実践を行う心理士として、有するべき思いや必要とする技術はほとんど共通のものでしょう。お互いがいがみ合うのではなく、広く心の支援を行っていくこと、それを目指して私たちは、心理の仕事をしていると思います。内部の対立が深まる悲しい事態がこれ以上進まないように願います。

 2つの資格ができればよいという人がいます。でも仮にできた場合、現場は非常に混乱するでしょう。何をお願いすればよいか他のスタッフを惑わすでしょう。国民にとってもとてもわかりづらい。そもそも、2つの似たような資格を作ること自体、税金の無駄遣いでしょう。一般の会社なら真っ先にリストラの対象となってしまいます。この先、2つの職能団体(つまりその資格を持つ人々の団体)ができてしまったら、お互い対立しあうことが目に見えています。これでは心理界全体が国民から見放されてしまう。心を支援するという仕事に身をおきながら、そのようなことになっては不本意極まりないです。

 そのようなことを避けるためにも、心の支援を担い、現場で地道に働いている心理士が、資格に関してよく考え、そして周囲に理解を求めることが大切と思います。そのためにも必要な情報を得ていくことが大切でしょう。現場にどっぷり浸かっていれば見えにくいさまざまな情報を、このブログでは今後もほぼ毎日(目標としては!)お伝えしていく予定です。

2005年6月 7日 (火)

「臨床心理職」署名10万人を越える情勢!

  2005/4/7から始まっていた「臨床心理職の国家資格の創設に関する請願」の署名活動ですが、その後全国的な広がりをみせ、6月に入って10万人を越す勢いのようです。署名開始から2ヶ月という短期間で、これだけの反響があったことは、現在政治レベルで調整の続いている心理職の国家資格問題に、大きな影響があると思います。「臨床心理職(士)」側には追い風となるでしょう。逆に「医療心理師」側には大きな打撃となるかもしれません。

  国会における請願は、憲法第16条に定められており、国会議員の紹介により国会に提出されます。その後、その内容が各国会議員に配布されるとともに、適切な委員会で審議されることとなります。なお、請願提出の際は、複数の紹介議員にお願いすることになります。「臨床心理職(士)」の国家資格に賛同する衆参両議院の国会議員に、ひろく請願の紹介をお願いすることになっているようです。

  しかし、国会の会期末(6/19)をにらみ今後の動きは不透明です。委員会(たぶん衆議院の厚生労働委員会)に「医療心理師」法案が突然提出され、充分な審議のないまま、しゃんしゃんと通ってしまい、本会議に法案が提出され、訳のわからないままなんとなく衆議院で可決ということにならないよう注目していく必要があります。この可能性がなぜあるかについては、衆議院の厚生労働委員会の構成メンバーについての解説が必要です。これについても後日・・・。

2005年6月 6日 (月)

資格法案一本化について

 「医療心理師」「臨床心理職(士)」の一本化に関しては、3つの論点があるでしょう。

それは、

1)「医療限定」資格か「汎用」資格か

2)医師の「指示」か「指導」か

3)「学部卒」か「大学院修了」か

になります。

 まず、1)「医療限定」資格か「汎用」資格かを、国民の視点から考えるといかがでしょう。

医療限定」資格であれば、カウンセリングを受けるために病気になって病院にいかなければなりません。国民の利用しやすさを考えるならば、断然「汎用」資格の方が利用しやすいでしょう。病気でなくても「病気のふり」をすれば病院でカウンセリングOKという声も聞こえてきそうですが、それでは病気でもない人を医療が抱えてしまい、医療費の増大を招きます。それにベテランの心理士なら気づくと思いますが、人格的なもろさのある方は、無理して病院で対応することで医原病的な反応を示し、こじれやすいものです。病気があれば医療の枠で、病気でなければ学校や職場そして地域で対応というのが、国民にとって一番わかりやすいのではないでしょうか。だから、心理の資格は、病院や学校、職場のどの場所でも通用する「横断的」つまり「汎用的」であることが、もっとも国民のニーズに応えているのではないでしょうか。

 医師の「指示」なのか医師の「指導」なのか、これは国民の視点からみるとどうなのでしょう。国民の自然な感情としては、「病院であれば医師の指示が必要だけど、学校とか企業なら医師の指示ではなくていいんじゃないの。もちろん医師の意見はあればそれにこしたことはないけれど・・・」といった感じではないでしょうか。法律用語で「指示」とは命令にほぼ近い意味があります。医師の傘をそこまで広げる必要がどうしてあるのか、国民にとってわかりにくいところですよね。この点は少し事例を挙げながら説明したいところです(もちろん事例は抽象化し架空のものとします)。別な機会に詳しく述べましょう。

 「学部卒」か「大学院修了」か、これはカリキュラムの問題が絡みますので単純には論ずることはできないのですが、国民感情からしたならば、なるべくしっかりしたトレーニングを受けた人にカウンセリングをしてほしいと思うでしょう。そうすれば、「学部卒」よりも「大学院修了」の方がよりよいでしょう。医学部を6年間ではなく4年間にしましょう、となったら国民の皆さんは不安がりますよね。心理のトレーニングも4年より6年の方がよいに決まっています。

 ところでここでいうトレーニングとは具体的に何を指すのでしょう。これに関して、実際に現場で働く心理士として語りたいことがあります。これについても、「医療心理師」と「臨床心理士」の双方のカリキュラム内容の検討というところで、後日考えてみたいと思います。

 これらは私の私見ですが、実際の一本化交渉で、これらの論点がどう話し合われているか、そのあたりも把握している情報をお伝えしていきたいところです。いずれにしても、国会の会期末(6/19)が迫ってきている状況の中で、法案がどのような扱いになるかは予測がつかない状況です。会期の大幅延長が認められる事態となれば、国会資格問題も暑い夏を迎える可能性があります。そうするとこのブログも暑い夏に・・・。

2005年6月 5日 (日)

今起こっていることは?

<それは今年始まった>

 今年になって慌しい動きとなっている心理職の国家資格問題ですが、現在、「医療心理師」と「臨床心理職(士)」の2つの動きが本格化しています。「医療心理師」に関しては、「全心協」ホームページが参考になります。「臨床心理職(士)」に関しては、「日本臨床心理士会」ホームページで確認できます。

 心理職分野で2つの資格ができることに関しては懸念の声が挙がっています。

 *たとえば、「YAHOO NEWS 4月19日: 医療心理師VS臨床心理士 2つの国家資格誕生」

<それぞれが議員立法を目指す>

 「医療心理師」側の働きかけを受け、国会議員による議員立法をめざすため、国会議員連盟「医療心理師(仮称)国家資格法を実現する議員の会」が結成されました(2005/2/24)。

 一方「臨床心理職(士)」側も、国会議員の議員立法をめざし、議員懇談会臨床心理職の国家資格化を通じ国民の心のケアの充実を目指す議員懇談会」が結成されています(2005/4/19)。

<2つの立場の調整:一本化?>

GW前後より、2つの立場の調整(一本化?)が本格化しているようです。

*以下は「YOMIURI ONLINE ジョブサーチ 2005年5月16日」からの引用です。

厚生族と文教族が議員立法 一本化への協議

 医療機関や教育現場などで心のケアにあたるカウンセラーをめぐり、国家資格を新設しようという二つの議員立法の動きを一本化する協議が始まった。河村建夫・前文部科学相や鴨下一郎・衆院厚生労働委員長らが4月末から会合を重ね、着地点を探っている。

 検討中の議員立法は、超党派の厚労族議員による「医療心理師法案」(仮称)と、超党派の文教族による「臨床心理士法案」(仮称)。双方とも今国会への法案提出を目指し、法案作成を進めている。

 (中略)業務の範囲は違っても、似た資格が二つ混在すれば、利用者が混乱しかねない。一本化の協議では、〈1〉資格試験の所管官庁や受験資格〈2〉「医師の指示」の位置づけ――などの論点が浮上している。

 その後も当事者団体のヒアリングを複数回行いながら、両議連の関係者が話し合いを重ねているようです。 しかし、どのような一本化がされようとしているのかその内容が、私たち心理臨床家にとどまらず質の高い心のケアを必要とする国民一人一人にとって重要です。密室の偏った一本化がなされないようこのブログで情報提供しながら、広く国民にとって必要な国家資格を考えていければと思います。

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